本郷キャンパスの敷地が江戸時代、大名屋敷であったことはご存知だろうか?
赤門(旧加賀藩屋敷御守殿門)や三四郎池(育徳園心字池)、懐徳館など、
当時を偲ぶような史跡が現在もキャンパス内には残っており、
学生だけでなく観光客の目も楽しませている。
しかし、キャンパス内にはもう一つ、江戸時代からの置き土産がある。
正門を入って左に少し進むと、工学部一号館の前にある大きなイチョウの木が眼に入る。
イチョウは東大のシンボルであるし、秋にはきれいに色づいた姿を見せてくれる。
風情ある光景だが、しかし、少し考えてみてほしい。
最近の本郷キャンパスでは新しい建物が次々と建てられ再整備が進んでいるというのに、
なぜこの場所だけ取り残されたようになっているのだろうか。
答えは、近くの茂みの中にある。
その辺りをよく探してみると、古びた灯篭があることに気づくだろう。
江戸時代、その場所には加賀藩の女中屋敷があった。
そこで不義を働いた女中は、折檻を受け、処刑された。
この灯篭は、その女中たちへの弔いの意を込めて建てられたのだ。
実際、幾度かこの一帯を工事する計画が持ち上がったそうなのだが、
その度に現場では事故が起こり、結局工事は中止に追い込まれてきた。
根津神社の神主を呼んでお祓いをしたこともあったそうだが、
効果は見られず、アクシデントは続いた。
以降、工事業者もここに手をつけるのを恐れ、工事を行うものがいないために、
現在もここは手付かずのままで残されている。
この灯篭、名前を「蛇塚」という。
その名前は、罪を犯した女中たちを、
蛇を一杯に放った部屋の中に閉じ込めて折檻したことに由来している。


