2.教員免許用語集
教員免許を取ろう、と思ったとき、先ず障害になるのが制度のややこしさです。便覧を見ても分からせようと言う気がないとしか思えないほどややこしいことが書いてあります。そこで、教員免許をとる上で知っておかないといけない用語を解説したいと思います。基本的には学部の便覧に従って書いていきます。なお、ここで紹介されていない言葉は後の章で追って説明するはずですので安心して最後までお読み下さい。
1.免許状の種類および資格について
東京大学で取得できる免許は中学・高校の専修免許・一種免許と養護教論の専修免許と一種免許です。学部でとれる免許は一種免許で、専修免許と言うのは大学院で修士をとることで一種免許にプラスアルファされた免許です。従って、一種免許を取っていないことには専修免許の取得はありえません。
専修免許を取りたければ、一種免許に加えて大学院で専門科目を24単位取ればOKです。大学院の修了要件は理学部の場合修士論文の合格を含む30単位の取得ですから一種免許を持って修士を取れば自動的に要件を満たす事になります。
養護教論というのはいわゆる保健室のおばちゃんです。養護免許は、医学部の人が取れる教員免許ですが、私は全く知識がないので紹介は控えさせていただきます。従ってこのHPでは以降は「高校・中学の一種・専修免許」を対象とする事にします。
特別免許・臨時免許・二種免許は、専門学校卒の人や、中高一貫校の先生で、高校の免許しかもっていない人が不足単位を取得しながら中学を教える際に取る免許ですので我々には関係ありません。
2.中学校・高等学校教論普通免許状を取得する場合の単位習得について
最もややこしいのはこの章です。従って、ここではあまり深く触れずに次の章以降で解説するとして、簡単にさらう事にします。
(1)基礎科目又は総合科目
要するに「駒場でないと取れない単位」です。このうち「体育(2単位)」と「情報機器の操作(2単位)」は本郷にいけるのならばそろっているはずですので特に気にしなくても問題がありませんが「日本国憲法(2単位)」と「外国語コミュニケーション(2単位)」は注意が必要です。日本国憲法は総合科目Cで、外国語コミュニケーションはいわゆる国コミで総合科目Bで開講されています。
国コミは何語でもよく、第3外国語として開講されている科目でも、また第二外国語の追加科目でも、英語でもかまいません。ただし、必修の外国語は外国語コミュニケーションに含む事は出来ませんので気をつけてください。また、総合科目Aで開講されている古典語も外国語コミュニケーションには含まれません。2単位でいいので、前期のみ、後期のみの履修でも要件は満たされます。普通は国コミは前期後期と通年で取るものですが、教養学部は通年科目も書類上は前期・後期で決算する事にしているのでこのような事態が起きています。
日本国憲法に付いては後の章で少し解説します。
なお、欄外に中学の免許を取るならば哲学・倫理学または宗教学の科目がどうのこうの、というくだりですが、これは全くもって任意です。これを取ったからといって教職科目に認定される事はありません。駒場の超弩級の左翼教師からうっとうしいぐらいの反日教育を受けるぐらいならば自分で思想書などを読んで考えたほうがよっぽどましだと、私は思います。
(2)教科に関する科目
いわゆる専門科目ですが、普通ならば免許取得を宣言している学部の講義を履修すればそろうのですが理科の場合は意外に曲者です。これについても後の章で細かく説明しますが、簡単に言うと、昔からある学科の場合はその学科の科目だけで全部そろえられますが比較的新しい学科の場合、その学科は専門性が高すぎて、それだけ受けていては教員免許の要件がそろわない、と言う事があります。特に中学の免許を取る場合は実験という非常に大きな問題が出てきます。この辺りはまた後で改めて説明します。
これに加えて最低限知っておいて欲しいのは駒場の教養学部前期過程開講科目はここには一切入らないと言うことです。例えば理系は必修で構造化学と物性化学と電磁気学と力学で合計化学を4単位、物理を4単位履修しています。では、この8単位を教科に関する科目として含む事が出来るかと言うと、一切含まれません!実は、後に言う実験の問題と含めてこの辺の事情が理系が教員免許を取りにくい原因になっています。
ただし、4学期に開講されている各学部の専門科目は含む事は出来ます。従って、例えば理学部物理学科に行った人が、4学期に量子化学Iと電磁気学Iと解析力学・量子力学Iを履修した場合、駒場では化学2単位と物理6単位を履修した事になります。駒場の必修の電磁気・力学・構造化学・物性化学を含めて化学6単位と物理10単位にはなりません。
ちなみに、危険物の甲種を受験するために必要な科目にも駒場の前期の科目は含む事は出来ません。
さて、表を改めてみてみると「」のあるものとないものがあります。「」があるものは、そのうちどちらかを取ればよいものです。例えば数学の免許を取るために「確率論、統計学」という項目がありますが、これは確率論に該当する科目と統計学に関する科目のどちらかを取ればいいと言う事です。
次に()があるものですが、これは、()内の事項を必ず含め、という意味です。理系の場合はあまり心配する必要はありません。実験には(コンピュータ活用を含む)とありますが、こちらが意識しなくても含んでいます。この()の縛りは文系科目の場合は()を含まないために教職科目が足りないと言う人がいるようです。例えば法学部で国内法の科目だけで法律学の単位をそろえたと思ったら()に国際法を含む、とあるために足りなかった、というような場合が考えられます。
この「」が最も深刻になるのは理科の実験でしょう。中学の免許では物理学実験・化学実験・生物学実験・地学実験全てが必修です。ところが高校の免許では物理学実験・化学実験・生物学実験・地学実験のうちどれかを取れば満たされます。ということは実験のない学部が理科の教員免許取得を宣言している事はありえませんから、普通に実験していれば「高校の要件は」そろうと言うことです。
(3)教職に関する科目
教員免許最大の鬼門です。なんと中学で31単位、高校で23単位もあります。しかし実際には高校でも25単位が必要です。ここは相当ややこしいので別の章で解説しますが、とりあえず押さえて欲しいのは中学より高校の方が少なくてすむ事と、中学の場合は「道徳の指導法」が必修である事と教育実習が長い事を押さえておいてください。
(4)中学校教論専修免許状及び高等学校教論専修免許状取得の場合
要するに大学院でどんな免許が取れるか、と言う事ですが、表に書いてあるとおりです。学部で取った科目は含まれません。つまり、高校の専修免許を取る場合は学部で36単位の専門科目を履修しているはずですが、これを超えてとった学部専門科目を専修科も栗集要件に入れる事は出来ません。例えば(学部で50単位)+(修士で30単位)ならば専修免許が取れますが(学部で60単位)+(修士で20単位)では取れないと言う事です。
ここで気をつけないといけないのはおそらく工学部や薬学部の人でしょう。工学部は基本的に工業科の免許しか取れません。と言う事は工学部の講義はすべて工業科の認定しか受けないはずです(だれか本当のところをご存知ならば教えてください)。この認定が大学院に行ったからといって変わる事はありません。つまり、学部で工業科認定された科目は大学院でも工業科認定です。
すると、工学部のひとが理科の免許を大学院で取ろうとすると、一種免許だけでも事実上36単位(しかも実験もある!)、専修免許のためにはさらに24単位ですから合計で60単位の専門科目が必要になります。はっきり言ってこれは無理です。修士で改めて60単位もとるのは事実上不可能です(修士の修了要件は修論をいれて30単位である事を思い出してください!)。従って、もし理科の免許を取りたいのならば、工学部はやめたほうがいいです。
3.養護教論免許状を取得する場合の単位習得について
医学部の人にしか事実上関係ないので省略します。大雑把に見たところですが、教職に関する科目が若干楽になる代わりに養護に関する科目がかなり厳しいようです。医学部の看護学科の人専用の免許、という感じです。
4.教育実習について
教員免許科目のある意味代名詞的存在の教育実習ですが、これもなかなか厄介です。
まず教育実習は中学は5単位、高校は3単位の認定になっていますが、これは高校は2週間、中学は3週間以上、という意味です。学校によっては中学の教育実習を1ヶ月やらせる学校もありますのでその辺りはしっかりとチェックしておいてください。
なお、ここで問題になるのはあくまでも教育実習の期間であってどこでやったか、は問題ではありません。例えば高校で3週間教育実習をやった場合、これも5単位には代わりありません。5単位の教育実習は中学のための要件ですが、別に期間を満たしてさえいれば中学でやらなくてはいけないと言うわけではありません。
1週間のオリエンテーションと言うのは、4年生の4月下旬に本郷で1日、東大付属の高校(中野にあります)で2日間、受け入れ学校で1日、教育実習終了後に東大附属高校で1日の合計4日あるオリエンテーションです。これは中学も高校も共通です。遅刻・欠席厳禁のようなので、内職の準備をしていく事が重要だと思います。なお、附属高校でのオリエンテーションは9時から16時までみっちりあるようです。
参加申し込みについては各学科で必ず掲示があるので良く見ておいてください。教育学部の事務は血も涙も通っていない駒場の教務課と似たり寄ったりなので書類の提出が遅れたりすると一発でOUTになる可能性が大です。
参加申し込み資格ですが、学部3年以上となっています。ここで気をつけないといけないのは、これはあくまで申し込みであって、教育実習が出来ると言うわけではありません。教育実習を実際にするのは4年以上です。実は教育実習の申し込みは意外に長丁場で、3年の6月ごろに書類が配られ、9月に提出し、4月にオリエンテーションをし、6月に実習となっています。つまり、1年がかりです。
参加資格ですが、要するに教職科目を一個以上履修していればOKです。「各教科の指導法」については、教育実習を受けるだけならば義務ではありません。
5.教育免許法の特例に関する法律等の施行に伴う措置について(介護等の体験)
田中真紀子が決めた法律のせいで、中学の教員免許を取るためには1週間の介護等体験が義務付けられるようになりました。9月ごろに申し込みをして10月にガイダンスを受け、その後1週間ほど派遣されます。
この実習も結構きついみたいみたいです…。介護体験をしたところで中学の教員に役立つとは思いませんが…。まぁ田中真紀子を恨みながら受けてください。
6.その他
学部の便覧には書いていませんが、理系が教員免許をそろえにくい最大の理由が別にあります。それは「移動時間と重複履修」です。実は、理学部の場合、本郷生が駒場の科目をとる場合は移動時間を1時間見込まなくてはならない、という規則があります。移動時間1時間を含めて開講時間に重複があった場合、それは重複履修とみなされ、履修が認められません。
具体的には理学部は4限は16時15分までです。そして教養学部は5限が16時20分から始まります。従って、これだけならば時間がかぶらないので履修が可能に見えます。事実、教育学部は1限が10時10分までで理学部は2限が10時15分からなのですが、これは何の問題もなく履修できます。
ところが、移動時間1時間の制限の為に、理学部から教養学部の講義を受ける場合、先ほどの例のように間が5分しかない場合は履修が認められません。駒場の6限は18時から始まりますから何の問題もなく履修が可能です。
実はこれは非常に大きな問題です。というのも4学期に必修と時間が重なっていた教職科目を履修しようとした場合、その科目は往々にして5限に開講されていますから、実験が昼間にある本郷に行ってから駒場まで履修に行く事はきわめて困難です。と言うよりも規則を厳密に守ってしまうと絶対にそろえる事は不可能です。
はじめに教員免許を取るならば教務課と一度ごねる、と書きましたが、ごねないといけない理由はここにあります。これについてはまた後で詳しく説明します。
ちなみに、この問題を回避したいのならば後期教養学部に進学することです。教養学部にいればかなり楽に教職単位をそろえる事が出来るうえ、理系の教養学部は数学・理科の両方の免許が取れます。ですから、もし理系の人で教員になりたい、と強く思っている人がいるのならば、教養学部に行くべきです。
とりあえずこんなところだと思います。では各論を見ていきます。